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星の砂.html

1/18 2002
忘れられない映像です。



浜辺に女の子が座っていたのです。
黒い服を着た、肩までかかる黒っぽい髪の、大きな黒い瞳の女の子でした。
ああ、夜だったんだ。
僕はその子の横に体育座りした。
その子がどんな座り方をしていたのかは覚えていない。
顔を見ていたんだよ、かわいかった。
星の話、月の話をした。
4年くらい前のことだから、内容までは覚えていない。
でも瞳がきれいなんだ、ずっと空を見上げていた。
僕の方を見なかった。
彼女は、ああ、1回こちらを見たよ。
「何か刺激があれば星になれるのに」(「輝けるのに」だったかも)
と言って、にこりとしてこちらを見た。
彼女はそのとき、悲しかったのかもしれない。 笑っていたけど。
でも僕は、彼女がもともとかわいいのに笑っているもんだから、どぎまぎしながらも、
嬉しくて一緒ににっこりしたんだ。
彼女は顔をもとの表情に戻して、もとのように空を見上げた。
「私のほかにも星はたくさん生まれているのに、私は星になれない」
と嘆いているようだった。
「今は、ただの石ころのように硬いの。」
と彼女は言った。
僕は彼女の顔を見つめていた。やっぱり少し、寂しそうだった。


日が暮れ出したら、彼女は夕日色にきらきら変わった。
月が出てきたら、彼女はぼうっと青光りし始めた。
彼女はもう何も話さず、空を見つめているだけだけど、
僕はというと彼女を見つめていて、あんまりきれいなもんだから、うっとりしていた。
彼女がびくりと動いて、空を見上げた。 見上げた瞳からは、
なんと涙が1粒落ちるんだよ。
まったく、僕はたまらなくなって、彼女の頬にキスをしたよ。

はっと、びっくりした表情を僕に見せた。

けど、すぐににっこりと微笑んだ。
そう思ったら、彼女はさらさらと星の砂になって、
さらさら、さらさら・・・
浜の砂に溶け込んでしまった。
きらきらと、砂粒よりも少し軽い粉が、余韻めいていたよ。


しばらくして僕は群青の空を見たよ。
僕は浜辺に1人だったよ。
大きい白い星がゆらゆら光っているのを見ると、
あの子がやっと心からコロコロ笑っているみたいに、見えたりした。





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