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「石の摘出手術」 1475-80 "The Cure of Folly (Extraction of the Stone of Madness)" 48 x 35cm プラド美術館 |
ヒエロニムス・ボスは、地方の画家らしく、その土地に伝わる迷信や諺を題材にしました。
たとえば、石は頑固で愚かなものを象徴したので、当時の人々の間には頭を切り開いて石の摘出手術を行うと馬鹿が治る という「お前がバカなんだよ」と言いたくなるような迷信がありました。実際に行われていた、とは大々的には書いてないけれど、田舎では拷問であったんじゃないかな〜なんて余裕で思える。 絵にはその様子が、当時の流行に従った美しい金色の装飾文字に囲まれるかたちで描かれています。 しかしその文字を読んでみると、 と書いてあるのだ! こんなに広々とした平野を背景にして、リズミカルな文字でエレガントに主張されると、その地の人々は如何なる畜生も許してしまう気になったのでしょう・・・。 ヒエロニムス・ボスが中世の敬虔なキリスト教徒であることを再認識させてくれます。 |
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そして一見、黙々と手術をほどこしている医者…ではなくてただの修道士は、帽子…ではなくて漏斗をかぶっています。 液体を通す=中身にならずつつぬけ!ということで「ペテン師」の暗喩です。 |
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一方、患者である男の頭からは、石(愚かさ)ではなく、なぜかチューリップが摘出されています。 チューリップのかぶりものを連想させて更にバカっぽいし、彼自身がその不可解なほど膨張した股間をしていてとても頭が弱そうです。 |
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そしてこの修道女の呆けっぷりは、もう実に見事。 ホントにこの画家、オフィシャルに真面目な祭壇画なんか描いてたの!? と疑う! しかもそれだけではなく、当時にヨーロッパで大々的に領土を広げていたスペイン「太陽の沈まぬ帝国」の王、フェリペ2世から名指しで祭壇画を描くよう命じられたというのだ!
ときはまだガリレイがやっと現れた頃で、世界は平らと信じられていた時代。 |
(それにしても、日本ではあまり知られていないたった1人の画家について説明するのに、これほどグローバルな世界史を易々と引っ張り出せるなんて、なんてうわっつらの広いギャラリーなんだろう!)
さて、地位も名声も得て、大作にとりかかる余裕も出てきた頃。
ヒエロニムス・ボスは世の風潮に乗って、新しい世界観を生み出したかったようです。
彼にとって、世界とは欲深く愚劣な人間がはびこる場所。
そんなアイデアを惜しみなく発揮しているのが、下の祭壇画です。
罪深い人間たち…人間の深層心理を、緻密に入念に描かれてしまった傑作。
目の前にしたら、絵解きだけで読書をしている気分になるかもしれないな・・・。